ヴァイオリン協奏曲

November 13, 2017

 

一週間前、みなとみらいにコンサートを聴きに行った。

演奏は創立275周年というライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、指揮は今年で90歳のヘルベルト・ベルムシュテット。二人足すと365歳という世界遺産みたいなコンビがこの日横浜の聴衆に聴かせたのは、ブラームス作曲の「ヴァイオリン協奏曲」とシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」だった。

 

シューベルトの方はまあまあ(というか、僕自身がさほどシューベルトに惹かれないだけだ、

誕生日は同じなのに)、ブラームスの方はバイオリンのレオニダス・カヴァコスがすばらしかった。チケットはけっこう高かったのだけれど、前から5列目のちょうど真ん中あたりに座り、ギリシア人が奏でるストラディバリウスの音色を全身で感じるという、なかなか稀有な体験をさせてもらった。

 

そういえばもう随分むかし、

「ぴあ」の仕事で、天才と呼ばれるバイオリニストを撮影したことがある。

 

彼の名はマキシム・ヴァンゲーロフ、シベリア生まれのロシア人だった。

 

撮影は雑誌社の会議室で行われたのだけれど、約束の時間に姿を現したヴァンゲーロフは、

なんだかイケてないブレザーにイケてないズボンを履き、正直言ってなんのオーラも感じさせない地味な若者だった。

ところが、じゃあ撮影を始めますかということになって、彼が足元に置いていたケースを開き、

中から1727年製のストラディバリウスを取り出して撮影用のポーズを取った瞬間、さきほどまでそこにいた野暮ったいロシア人はどこかに姿を消し、代わりに目の前には風格に満ち溢れた偉大な音楽家が現れた。

 

あの驚きの瞬間は、いまでもよく覚えているし、あの時に撮った写真はいまでも大いに気に入っている作品のひとつだ。

 

Facebook
Twitter
Please reload

Copyright All Rights Reserved.©A.Kondo